2026年124日(土)2026年412日(日)

【2026年早春 所蔵作品展】つむぐ・つなぐ・つたえる
ヴェネチアン・グラスのDNA

つむぐ、つなぐ、つたえる ヴェネチアン・グラスのDNA

優れた吹きガラスの技術で芸術品としての価値を極めたヴェネチアン・グラス。ガラス職人たちが生み出した装飾技法は、現代のガラス工芸へと続く基礎となった。どんなに優れた技であっても、それを次世代へと伝えることの難しさに直面するなか、ヴェネチアン・グラスは、今日までおよそ1000年以上、そのDNAが脈々とつながれている。
ヴェネチアン・グラスの技法は現在、世界各地でその技に魅せられた作家たちにより制作に取り入れられている。そうしたヴェネチアン・グラスのDNAを受け継いだ作品は、本場ヴェネチアでも高い評価を受けている。
今回の企画展では、改めてヴェネチアン・グラスの伝統技法についても触れながら、ヴェネチアン・グラスに憧れてその技をつなぎ、つむぎ、つたえている現代作家にスポットをあて所蔵作品を紹介する。また、ヴェネチア発祥のガラスビーズで立体的な花を制作するビーズフラワーに魅せられ、唯一の後継者としてその技を託された、ビーズフラワーデザイナー・下永瀬美奈子氏の作品も特別展示。現在、活躍している国内外の現代作家による、ヴェネチアン・グラスのDNAを未来へと伝える作品をじっくり鑑賞しよう。

第1章「現代にみるヴェネチアン・グラスの姿」

《復興の桜》  2025年 下永瀬美奈子 個人蔵

およそ1000年の歴史をつないできたヴェネチアン・グラス。ヴェネチアのガラス職人たちが生み出し、芸術品の域へと高めた装飾技法の数々は、今も現代作家たちの作品に息づいている。日本をはじめ、世界のガラス作家たちは、その技を学び、進化させながら独自の美を追求し続けている。ヴェネチアの伝統技法と作家たちのルーツが融合した作品は、本場ヴェネチアでも高い評価を受けており、ヴェネチアン・グラスの遺伝子を次世代へつなぐ大切なピースとなっている。
本章では、ヴェネチア発祥のガラスビーズで立体的な花を制作する”ビーズフラワー”に魅せられ、唯一の後継者としてその技を託された、ビーズフラワーデザイナー・下永瀬美奈子氏の作品を特別に展示。他にも、ヴェネチアン・グラスを未来へとつなぐ、現代作家たちの優作を複数紹介する。レース・グラスやミルフィオリ・グラスなど、ヴェネチアン・グラスのDNAを受け継いだ作品の世界観を楽しんで。

作品:《復興の桜》 2025年 下永瀬美奈子 個人蔵

第2章「ヴェネチアン・グラスの伝統技法」

《ミルフィオリ・レース双耳瓶》  1915年頃 エルコレ・バロヴィエール

ヴェネチアのガラス制作は、7~8世紀には始まっていたと考えられ、10世紀の文書にはガラス職人の記録が残されている。その歴史は1291年 ヴェネチア共和国によるガラス職人のムラーノ島への強制移住で大きく動く。東西交易で財を築いていた共和国は、市場の動向からヴェネチア製のガラスは主力商品になると位置づけ、ガラス職人たちを国の管理下に置いた。
ルネサンス期に入り貴族文化が花開くと、貴族たちがヴェネチアン・グラスの最大の顧客になった。ガラス職人たちは彼らのあらゆる趣味嗜好に応えるべく、器の表面にルネサンス絵画を描いたり、水晶への憧憬からガラスを無色透明にする技法を考案したりと、新たな技法を次々と紡いでいく。さらに襟や袖を飾る純白のレース編みの流行を受け、ガラスでレース模様を紡ぐ技法などが、15~16世紀に生み出された。この時代に芸術品としての価値を極めたヴェネチアン・グラスは、ヨーロッパのガラス市場を約9割も独占する程に急成長を遂げた。この章では、ヴェネチアのガラス職人がつむぎ、今日では伝統技法となったエナメル彩やクリスタッロ、レース・グラスなど、革新的な技法で作られた作品を紹介する。

作品:《ミルフィオリ・レース双耳瓶》 1915年頃 エルコレ・バロヴィエール

第3章「ヴェネチア様式のガラスの誕生」

《ドラゴン・ステム・ゴブレット》  17世紀 ベルギー(アントワープ)

職人たちは代々、ヴェネチアン・グラスの技法を一子相伝で守り、ヴェネチア共和国も国外への流出を防ぐため目を光らせていた。しかし一方で、ヴェネチアン・グラスの研究や高額な報奨金で引き抜かれたガラス職人によって、技法は徐々に流出していった。そして、ガラス製造法をまとめた書籍「ラルテ・ヴェトラリア(1612年 A.ネッリ著)」が出版されると、様々な言語に翻訳され、ヴェネチアの技法は広く知られるようになった。それに伴って各地で、ヴェネチア様式のガラス器が作られ、なかでもレース・グラスやドラゴン・ステムなどの技法は、ヴェネチアン・グラスに匹敵するほど良質で、ヴェネチアン・グラスに強い憧れを抱く貴族にも受け入れられ、ヨーロッパで人気を博した。以後、地域の特色を活かしたガラス制作へと発展し、チェコやイギリスなどヨーロッパ各地でガラス工芸が成長していく。第3章では、ヨーロッパ諸国がヴェネチアから伝わった技法で制作し、ヴェネチアン・グラスのDNAを引き継いだ”ファソン・ド・ヴェニーズ(ヴェネチア様式)”の作品を展覧。

作品:《ドラゴン・ステム・ゴブレット》 17世紀 ベルギー(アントワープ)

開催日 2026年124日(土)2026年412日(日)
会場
所在地 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48
アクセス 「箱根湯本」駅からバス〈桃源台行き〉で25分、「俵石・箱根ガラスの森前」下車
TEL 0460-86-3111
ホームページ https://www.hakone-garasunomori.jp
営業時間 10:00〜17:30(入館は〜17:00)
休館日 展示替え等に伴う休館あり、成人の日の翌日から11日間は休館
料金 〈大人〉1,800円
〈大高生〉1,300円
〈中小生〉600円
施設情報 カフェレストラン・ミュージアムショップ・水車小屋「アチェロ(オリジナル菓子のお店)」・体験工房
駐車場 有り(1日 500円)
支払い
  • 現金
  • クレジットカード

更新日 : 2026.01.27